づいづいづっころばし

記憶力の乏しいオタクの殴り書き帳です。

「天気の子」を観た。

「天気の子」の感想です。
私は映画評論家でもないし創作もろくにできない素人なので、この記事は単に私の性癖と新海誠の最新作がどれだけマッチしていたのか、そして上映後に抱いた己の感情の理由を確かめるものです。ネタバレあるので未見の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

まず結論から言うと、「天気の子」、作品として良かったと思います。嫌いじゃなかったです。
参考までに私が見た新海作品は以下の通り。


雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」「君の名は。

この中で「雲のむこう、約束の場所」と「言の葉の庭」が好きなので察してほしい。秒速は女のリアルさ故にオチは好きなのだが、鬱エンドという評判の割に大して鬱じゃないので興覚めしてしまいあまりいい印象がないのだがこの話は置いておこう。人には人の性癖(リピートアフターミー)。

 

予告を見た私も多くの人と同じように「前作売れたし新作も野田洋次郎だしこいつ世間様のために二番煎じするのか?観るの怖いな~」などと思いつつも、上映初日の「昔の後味の悪い新海誠が帰ってきた」という感想ツイートを見て「お?これは期待してもいいのか?」とソワソワしながら夜の映画館に向かいました。

後味が悪い、と意識しながら見る映画はとても心臓に悪く、物語の序盤から「帆高いつ捕まるの…陽菜はどう死ぬの…」と思ってみてたし、ラブホに警察がきたときからずっと、いつこの映画終わるの?!と大変ハラハラしながら見ていました。劇場の照明がついた時”想像の100倍後味のいいエンドを迎えられた”と真っ先に思いました。
私もまあまあ狂っているので今回のエンドはどちらかというとハッピーエンドかなと思うんですが普通にメリバなんですかね…。所謂セカイ系映画としては世界よりも彼女を選んだということでメリバなのかな。

でもあの異常気象は誰かが人柱にならなければいずれにせよあの結果を招いていたので彼らのせいではないのでは、と思うのでメリバじゃない気がするんだよな。瀧くんのおばあちゃんの言う通り、元に戻っただけ。
これが陽菜が「運動会やだなーすごい雨降ってください!」とか祈った結果の異常気象なら何お前の我儘で東京沈めとんねん(怒)となってたけどそうじゃないでしょ、って書きながらふと思ったのだがもしかしてあの異常気象って陽菜が空とリンクしたことが引き金になってる?忘れちまった…もしそうだとしたら後始末はしてないわけだからエゴな結末で確かにメリバか…。


私は「『世界よりも君が大事』な取り残される男(攻)」✕「『あなたが生きる世界のためなら死ねる』と身を引く女(受)」の話が性癖です。なんなら身を引く側が多くを語ることなく消える方が好み。

だから本来は、あの朝横に陽菜がいない、で終わる話のほうが好きなんですよね。ただ今回は彼らが警察に追われる身だったじゃない?
あのまま大人しく捕まってたら世界は平和を取り戻せたけど帆高と凪は地獄の余生だよなあという同情があって、せめて帆高は心中してほしいな(※1)という不謹慎なことを考えながら見ていました。※1:私はロミオとジュリエットも大好きです。
ただ流石に警察に捕まりながらも陽菜が、陽菜が、となる帆高の姿はSAN0で見てて恐怖でしたし、あんなに大勢の人を巻き込んで本当に陽菜を取り戻せなかったらどう落とし前つけるんやこいつ少年院送りじゃんとそんなことを思い見ていました。あと心中エンドも期待してビルから飛び降りるのかなとかも思ってた。
圭介さん全然嫌いじゃないんだけど、圭介さんが最初に説得してなきゃさ~~~帆高が銃をまた撃たずに済んだじゃん?!とかは強く感じてむかついた。まあ三発目は防げたし結局は帆高後押ししたから嫌いにならずに済みました。

リアリストとして物申すとすれば、まあ、陽菜を取り戻せたことと関係者各位の処罰が思ったより軽いことなんだけどこれはもうフィクションだしつっかかるのは違うよな~。東京沈んだしチャラかな(?)と個人的には許せました。処罰らへんは賛否が分かれそうだよね。まあまあやばいことしてるもんな皆。


大人が、綺麗事とわかりながらも子供の綺麗事を後押しするところはいいな、って思ったよね。誰しもそう願う時代を過ごしてでも歳を重ねるごとに諦めてきた想いだから。まあそれも全て陽菜を取り戻せたから言えることなんだが。

 

最終的に冒頭で述べた「上映後に抱いた”嫌いじゃないと思った”理由」は「天気を変えることの代償がそれ相応であるリアルさ」がある一方で「ファンタジーではあるが陽菜生存ルートにいけて主人公達が報われた」こと、「しかしその引き換えに東京は異常気象が続き多くの人の生活を変えた」、「でも彼らのエゴを咎める人が彼らの周りにはいなかった」こと、もちろん「私自身も彼らのエゴは悪くないと思った」からだと推測しました。


これは余談で新海誠が流石という話なんだけど、相変わらず街の描写の再現度が高いわね。
田端池袋新宿代々木渋谷大部分腑に落ちてノスタルジーになったもん。
線路走ってるときなんて特に「まだ池袋じゃん頑張れー」「おっ馬場通過か」「新宿きたー代々木もうちょっとだから頑張れ!」って気持ちになりました。都バスもね、なじみのある路線だったしね…これは私が12年間愛用した路線故と、今その場から離れて暮らしているということが要因だろうなと思います。その面でも楽しませて頂きました。

 

新海誠のフェチズムが満載な「天気の子」、RADWIMPSが安定の「天気の子」、面白かったです。
閲覧ありがとうございました。